国立大学法人徳島大学 大学院医歯薬学研究部
教授
Tokushima University
Professor
1990年;徳島大学医学部卒業、1990年~1993年;大学病院と市中病院で小児科医として勤務、1993年~1997年;徳島大学大学院医学研究科、1997年;医学博士、1997年~2000年;アメリカNIH/NIAID・visiting scientist、2001年;徳島大学医学部・教授
T細胞は抗原受容体(TCR)によりMHC上に提示された抗原を認識することを起点として、各種の機能的に異なるエフェクター細胞へ分化し、一部の細胞は記憶T細胞として長期間生存します。また、T細胞はTCRを使って細胞外の情報を感知することに加えて、各種のサイトカイン、膜分子などの相互作用によりT細胞の機能的分化や局在が規定されています。このような一見複雑なT細胞応答ですが、全遺伝子発現パタンでその応答を分類すると比較的限られた数に分けることができることもわかっています。つまり、T細胞初期応答とそれに引き続く機能的分化を特定の細胞外環境や各種の疾患の状態などでパタン分類することも可能であると推定され、それが実現するとT細胞応答をリアルタイムでモニタリングしたり、あるいは予測することもできると考えられます。以上のような背景から、今回のムーンショット型研究開発事業において私たちのグループでは、ウイルス感染に対するT細胞応答および分化様式についての動物モデルと人を対象とした研究から、ウイルス感染に対するT細胞応答をパタン分類し、各パタンでのT細胞応答を制御する鍵となる分子およびネットワークを見出すことを目指します。